光学オーラルスキャナーで咬合診査。ブログ 米国補綴専門医が語る一般歯科医の知らない世界
光学オーラルスキャナー、トリオス3の用途は何でしょう?インプラント埋入のポジションを検討し、サージカルガイドを作成する。
日本では、3Dプリンターから自院でサージカルガイドを作製出来るようになるのもまだ先の話ですが、将来的にオーラルスキャナーの用途はもっと幅広いものになるでしょう。今回はそれ以外の使い方について紹介します。
さて、下のケース、患者さんの主訴は何でしょうか?

右下にインプラント?
私の講習会に参加してる方で、そんな短絡的なことを言う方はいないと思いますが。。
この方の主訴は何十年も咬めなくて、いくつも歯科医院に通っている方です。
咬めないという主訴の方にインプラントを入れたら噛めるようになりますか?
いや、一般歯科医をDisっているわけでも、インプラントを悪く言ってるのではありません。
インプラントは使い方を間違えなければ、素晴らしい治療法です。
咬めないというからにはインプラント、じゃなくて、そうです。まずは診査診断。咬めない原因を探ってみましょう、咬合診査です。
トリオス3を使って、MIPとCRで噛み合わせを調べてみました。


次はCRポジション。


若干噛み合う位置とその範囲が異なります。
トリオス3のみならず、オーラルスキャナーによる型採りは、歯根膜や顎関節の被圧変位量、に影響を受ける、その点が模型との違いですね。
このケース、当然模型による咬合診査も行っています。歯科医に必要な技術は、模型による咬合診査が出来ること、MIPとCRポジションの違い、いつでもCRポジションに導けるか。
そもそも正しくCRの位置を決められなければ、光学オーラルスキャナーによる咬合診査なんて、なんの意味もありません。
こうした手技が出来るようにならないと、インプラントのオペは出来ても、しっかり咬める被せ物を本当に作ることは出来ませんから。
ここからは受講生向けになりますが、トリオス3といった光学オーラルスキャナーの使い方よりも先に、MIPとCRポジションで採った咬合接触点を見て、その違いから何を読み取るか。
まずはこうした診査の重要性やCRとMIPの違いを理解すること、CRポジションでのマウンティングなどに習熟する方がはるかに大切です。
今後はさらに顎運動計測器も使いこなして、診断力を高めていきましょう。
