本当に不遇(?)日本の歯科医。ブログ 米国補綴専門医が語る一般歯科医の知らない世界
月曜日から、ニューヨーク大学補綴科で同級生だった友人が家族で来日してます。
向かった先は、外国人観光客に大人気の。。


もちろん美味しいのですが、私の口には贅沢過ぎるというか。。
焼肉は炭火が一番ですね。って話したら、弁護士でもある奥様はよくご存知で、大阪でチャレンジしてみるそうです。
ところで再開は卒業以来の約2年ぶり。今年の卒業生の就職先や諸々近況を報告。
彼は現在アイオワ大学補綴科のアシスタントプロフェッサー、ファカルティとして勤務しています。

週5日のうち、内訳は研究日、自身の患者さんの治療、3日は学生実習の指導、そして夏休みは一ヶ月与えられているそうです。朝8時30分から夕方17時で仕事は終わり。
タイの歯学部を卒業し3年で渡米し、4年間ニューヨーク大学の補綴専門医課程で学び、それから2年経ってますから卒後8年目の32歳。おそらく年収は800万円くらいだと思います。アイオワで生活するには十分すぎるでしょう。
サマーバケーションで母国に戻り、日本に立ち寄り、のんびり悠々自適の生活。まだ32歳でこんな生活が送れてしまうアメリカの歯医者さん。こうした生活、ステータスを目指して、世界中から歯科医がアメリカの歯学部に殺到するわけです。
アイオワのアパートの家賃は、2ベッドルームで900ドル。ニューヨークのマンハッタンだとワンルームで2000ドルですから、もうニューヨークには戻れないと言っていました。奥様も弁護士で働いているので経済的に困ることもなく、最近はトラクターを買って庭の雑草を手入れするのが日課だとか。
一年目は大変だったそうですが、今ではアイオワでの田舎生活にもすっかり慣れてきて、人生を楽しんでいるようでした。
だからと言って、アメリカの歯科医が羨ましいとは思っていませんし、日本の歯科医の社会的地位が低いだとか待遇が良くないとは言ってませんよ。
日本の歯学部は普通の高校で少し良い成績を収めていれば推薦入学で受験もせずに合格できます。そんな歯学部、世界のどこに行っても存在しません。なりやすさや経済的な安定を考えると、むしろ日本の歯科医は恵まれています。
国家試験の合格率が60%ほどで問題になっていますが、入学のしやすさを考えると、一定以上の基準に設定するのは仕方ないとも言えます。ほぼ誰でも入学できるのなら、出口で選抜せざるを得ないからです。
アメリカの歯学部に入学してくる学生の大学時代の成績は、GPA3.2以上。AとBが半々くらいの成績の学生の中での競争。さらにDATという適性試験の成績、ボランティア活動や研究歴の有無などトータルで判断されます。
応募倍率は20倍前後。専門医課程となると、さらにそこから成績優秀な選りすぐりがアプライしてきますし、そこに私のような歯科医として開業していたり、研究してたような即戦力の留学生が加わって倍率は10倍前後。
彼は留学生でアメリカの歯科医師ライセンスを持っていないので、年収もこれくらいですが、こうして難関をくぐり抜けて得られたステータス、収入としてはもっとあっていいでしょう。
どうですか?
日本にいれば外国から、とびきり優秀な歯科医が流入してくるわけでもありませんし、保険診療中心なら求められるレベルもそれほど高くない。
日本の歯科医はかなり恵まれていると思うのですが、いかがでしょうか?