オールセラミックスか、メタルか?被せ物は何を選ぶ?〜ブログ 補綴専門医が語る一般歯科医の知らない世界〜
オールセラミックスはどの材料が一番良いのか。
オールセラミックスなど上部構造、被せものの選択基準はズバリ、審美性と機能性、強度のバランスがポイント。
審美性を優先すれば、強度が落ちますし、強度を優先すれば、審美性はどうしても落ちます。
そこのバランスを見極めて、最適な材質を選択し、提案するのが歯科医としての臨床能力の証明、といったところでしょう。なんでもかんでもセラミックじゃ能がない。
写真は、今回購入予定のファーネスというポーセレンを焼成するためのものです。素焼きの段階で表面に色を塗り、着色を施し焼き上げます。より精密な色彩、明暗を表現できるようになります。

このパンフレットは二ケイ酸リチウムガラスセラミック、通称emaxと呼ばれるオールセラミックです。
強度と審美性のバランスに優れ、シェード、色の選択肢も豊富。

審美歯科、オールセラミックスといえば、ジルコニアがベスト!という一般歯科医も多いですが、補綴専門医はそういった画一的な治療は行いません。
むしろ、専門医が20年の長期予後がわからない材質をそもそも第一選択で使うことはないのです。新しい材料だからこそ、じっくり見極める必要があります。
場合によっては、ゴールドなどの金属系の材料を薦めることも。セラミックとレジンのハイブリッドの場合もあります。
噛み合わせが強い方は、数年毎に材料を貼り換えたり、メタルを足し直したり修理を行います。だからインプラントは基本的にスクリュー固定。
どちらかというセラミックの方が審美性は良いのですが、噛む力が強い方や奥歯には向きません。セラミックは陶器、お茶碗や花瓶と同じ。落としたら割れますよね。どうしても欠けやすいのです。少し固いものを噛んだり、不規則な噛み合わせ、噛む動きで簡単に欠けてしまいます。
金属アレルギーを心配される方もいますが、パッチテストなどを行い、アレルギーが疑われたらやめれば良いでしょう。そもそも人体に有害な材質を、この日本という国が認めるわけがない。
もしも講演会などで演者がジルコニアやe.maxを選択していたら、綿密な診査診断の上治療計画を立て、治療を進めているはずです。
何でもない歯をわざわざセラミックにする方がむしろ歯を傷めます。
患者さんが審美を気にされて、白い被せ物にしたい、というなら分かりますが、歯科医が金属アレルギーが心配だからとセラミックを薦めるというのは、何だか胡散臭いなと違和感を感じてしまいます。
補綴専門医だからというより、患者さんの状態に応じて、最適と思われる治療を行う。
それが医療だと思いませんか?
