実はインプラントより複雑で難しい入れ歯作り〜ブログ 補綴専門医が教える、一般歯科医の知らない世界〜
富山には卒後5年前後のドクターが、東京と大阪から週に一度診療に来ます。一通りの治療は出来るので、私のクリニックではプラスアルファ、チェアサイドでのちょっとしたコツを伝授しています。
勤務医採用の条件は、ある程度手が動くこと、コミュニケーションがきちんと取れること。実際にみて真似て、可能な限り思考回路も真似る。手先はもともと器用なので、あとはどこまでのクオリティが必要なのか。伝えるのはその基準です。
スタンダードを知れば、自身の課題や強みを認識出来ます。その上で、最後まで「治しきる」、噛める入れ歯を作るなど成功体験を積み重ねていく。そこから少しずつ自信が生まれてきます。
実際富山のクリニック、私一人では、患者さんを到底みきれず、アポイントが一ヶ月も先。彼らがいてくれると治療が早く進むので、患者さんにも喜んで頂けるし、助かっています。
今日は総義歯の人工歯を再排列する技工物を持ち帰ってもらいました。かなり難易度高めですが、来週また試適セットの予定。

このケースが難しいのは嘔吐反射があり床辺縁をいっぱいに出来ないこと、顎の側方運動、横への動きがノーマルレンジではないこと。人工歯だけではフルバランスオクルージョンを達成できません。普通の噛み合わせだと入れ歯が落ちきてしまいます。そこをどう対処するか。

保険診療か自由診療かは関係ありません。
よく自由診療は材料が自由に使えるから、、様々な方法を採用しているとアピールしている方もいますが、こと入れ歯に関しては歯科医の実力が結果に大きく左右します。噛み合わせを決めるのは材料ではあります。歯科医です。
補綴専門医は噛み合わせのプロです。だから、インプラントでも審美歯科でも入れ歯でも、何でもちゃんと噛めるものが作れるわけですね。